業界において住宅が如何に「商品」として扱われ、差別化のために広告宣伝やマスコミによって記号化されているか、痛感します。
家はオール電化が当たり前、外断熱が優れている、ベタ基礎が良い、照明はLED、融資はフラット35が絶対お得、エコポイントを取得しないと損、などなど。
オール電化にしても、「なんとなくランニングコストが安そう」というイメージだけが先行していることが多いようです。
よくお話を聴けば、深夜電力を有効に使いにくい生活スタイルであったり、本当はガスオーブンでパンを焼くのが夢だったり、
立上りの早い暖房システムが必要なために電化によるメリットが少ないケースもあります。
2011年までにdueが設計監理した家の統計をとってみると、約40棟のうち、オール電化が37%、その他が63%でした。
私たちは電化を薦めるわけでも否定するわけでもありません。
その方のライフスタイル、空間構成にふさわしい技術情報を客観的に提供し、結果的に選択された結果です。
構造についても、設計スタート時点では決まっていません。
これも統計をとってみると、木造50%、鉄骨造36%、RC造14%となりました。
住まい手や敷地にふさわしい空間やデザインを実現するために、検討・提案の結果、構造が選択されています。
断熱については、構造と一体的な面があります。 その構造と空間とデザインと使われ方にふさわしい方法を、コストバランスを見ながら検討しています。
たとえばRC造であれば壁やスラブの熱容量を活かすために外断熱が有利です。 軽量な木造、鉄骨造においては本来「外断熱」という表現は正しくありません。
LED照明は大きなメリットがあり、将来有望な技術です。 しかしデメリットがあることも理解する必要があります。
電源ユニットに宣伝文句ほどの耐久性がないかもしれないこと、規格がまちまちで、交換時に色や輝度や指向性を揃えることが難しいこと。
クリスマスイルミネーションがLED化され、安定化電源によるゆらぎのない光が街の夜景を「静止」させていること。
どんな暮らしがしたいか、どんな空間で過ごしたいか。
夢の実現のために客観的な情報を提供し、じっくり話し合い、目的に合うシステムを組み立てる。
依頼を受けるとき、dueのギアは、常にニュートラルに入っています。
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