初めて敷地を訪れるときは重要です。
周囲の風景、光と風、人とクルマの流れ。 その街の雰囲気、歴史。
そこに依頼主の人となりが重なって、建物のシルエットがふわっと浮かび上がることがあります。
具体的要望など、まだ聞いていない段階。 まだ影絵のような、茫洋としたものです。
帰りの車中で第一印象を話し合います。
ふたりの印象が重なったとき、その案は最後まで生き続けるようです。
重ならなければ、どちらかが物語を作って相手に話し続けたりします。
残念ながら日本の住宅街では、地域独自の歴史や文脈は失われつつあります。
そんな街並みで、突出することなく、新鮮な風を吹かせたい、と思っています。
和風とか、南欧風とか、そういうレベルの話ではありませんし、依頼主の好みにさえ合えばいいとは限りません。
その家があることで、その街の価値を高められたらいいな、と。
個人の所有物であるとしても、建築にはそれだけの影響力があるし、義務もあると思っています。
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