家の外観はどのように作られるのでしょうか。
和風、洋風、北欧風、南欧風、モダン、クラシック、ナチュラル、インダストリアル…一般的には、そういった「テイスト」から「選ぶ」作り方が多いのかもしれません。構造や間取りの設計がそのまま外観に表現されることもあります。
ここでは、建つ場所の印象から、家の外観がひらめくことについて書きたいと思います。
初めて敷地を訪れるときは重要です。
周囲の風景、光と風、人とクルマの流れ。 その街の雰囲気、歴史。
そこに依頼主の人となりが重なって、建物のシルエットがふわっと浮かび上がることがあります。
具体的要望など、まだ聞いていない段階。 まだ影絵のような、茫洋としたものです。
帰りの車中で、土地の第一印象を話し、互いにストーリーを作って話し合います。この土地と、この人に似合うのは、こんな姿ではないかと。
ふたりの印象が重なったとき、その案は最後まで生き続けるようです。そして間取りや構造を検討する過程で、そのイメージはブラッシュアップされていきます。
残念ながら日本の住宅街では、地域独自の歴史や文脈は失われつつあります。
そんな街並みで、突出することなく、新鮮な風を吹かせたい。
依頼主の好みに合うことは当然としても、その家があることで、その街の価値を高められたらいいな、と。
個人の所有物ではありますが、建築にはそれだけの影響力があるし、義務もあると思っています。